鉾井さん班のメンバーは、偶然か必然か、それぞれ様々な形で作品制作に興味があるらしく、開始した瞬間から各自すらすらと手を動かし始めました。テーマは瀬戸内について、今回のリサーチで感じたことや表現したい記憶などを、脚本、動画、漫画、フライヤー、絵、コラージュアートなど本当に様々な形でアウトプットをしていきました。
ちなみに制作場所ですが、分校プロジェクト香川大学学生助手の奥野が所属しているゼミ「柴田研究室」の部屋で行いました。初めて入るOFFな大学の研究室の雰囲気は、高校生にとって汚く映ったか、または比較的キレイに見えたか少し気になりますが、そんなことも気にしないぐらいの集中量でした。
途中、鉾井さんからインタラクション作品についての説明もありました。
それは、風上をとらえる風見鶏式の三脚の上に、ピンホールカメラをつけることによって、風の流れを視覚化する「Windgraph」という作品です。
ピンホールカメラの仕組みや、どんな風にセッティングするのかなど、直接教えていただきました。専門用語などもたくさん出て来て、高校生メンバーも興味深く聞いていたように感じます。
:ウィンドグラフについての解説を聞く高校生メンバー
その後も夕方まで制作は続き、その日は終了しました。ちなみに、高校生メンバーが制作している間、鉾井さんは他の場所でリサーチをされていました。
瀬戸内海分校プロジェクト「さとうみ」も今日で最終日となります。そして、リサーチ3日目の午前も、昨日に引き続き作品制作を行いました。場所は、イノベーションデザイン研究所(通称:id研)です。
この日の最初、鉾井さんはid研に来ていません。鉾井さんは、昨日のリサーチで高校生メンバーから教えてもらった香川県のおすすめスポットを自転車でめぐることになっていました。峰山という山から有名なうどん屋まで、とってももりだくさんのスケジュールです。
そして、このスケジュールの中にある峰山ですが高松が一望できる頂上があります。私奥野は麓から頂上まで自転車で上ったことがあるのですが、尋常ないほどに疲れた記憶があります。2日目の制作を開始して三十分ほど、鉾井さんから頂上に着いたと知らせがあり、鉾井さんとid研にいる高校生メンバーでビデオ通話をつなげました。
頂上からみる高松の綺麗な景色とは裏腹に、自転車での峰山攻略はとてもハードだったようで、高校生との会話も盛り上がりました。通話後は、また集中モードに入り制作を再開しました。ちなみに、鉾井さんは、お昼以降id研に合流する予定です。
お昼前になり、高校生メンバー全員の作品が完成しました。昨日の午後から合わせて計8時間、全集中を注いで制作した7つの作品が完成しました。
:(左)夜の高松を一望できる絵 (右)さとうみでの経験をコラージュした作品
:(左)さとうみでの経験を記憶としてポスターに(右)劇場版えびすさんの上映ポスター
どの作品も、今日までのリサーチを元にそれぞれが考えて解釈したことがわかる力作ばかりで、この「さとうみ」を修了していないと理解・共有することができない描写ばかりです。
喜多船長のゴミについてのお話、歴史民俗資料館で聞いた恵比寿さまという神様、インタビューを通して俯瞰してみた自分の瀬戸内の記憶など、この「さとうみ」を通して、それぞれ当たり前だと思っていた瀬戸内を、リサーチを通して知った事実や情報にぶつけてみることで、確実に新しい視点が生まれたのではないかと個人的に感じました。
今回、鉾井さん班の3日間のリサーチは、リサーチというよりかは制作が主だった気がします。しかし、鉾井さんにとっては香川県のさとうみを生きる高校生の記憶を、高校生はまだしらなかった瀬戸内を作品にすることで、制作よりも大切な個人個人の「リサーチの精度」を結果的に高めることができたと感じます。
そして、鉾井さんも実は作品を作っておられました。リサーチ2日目で紹介のあったWindgraphで高松の各所を撮影した映像に、高校生のインタビューの声を載せた作品でした。
鉾井さん班の作品は、午後の部でひとつひとつ製作者の解説を交えて発表しました。そこでは、今回の「さとうみ」プロジェクト東京芸術大学瀬戸内海分校の学長である日比野克彦学長にコメントしていただきました。その詳細については、Day6午後の記事で述べさせていただきます。
以上で、鉾井さん班の3日間にわたるリサーチは終了しました。